見出し画像

【とける×デザイナー対談】新ビジュアル解禁!自然に生まれる柔らかい強さを目指す

「生き物のように変容しつづける“とける”の「今」を詰め込んだデザイン」

創業以来掲げてきたロゴデザインを一新し、新たなスタートを切ったとける。その背景には、「未来が歓迎する環境を想像×創造する」というビジョンに向き合う姿がありました。

水彩に融ける新デザインへの想い。そして、新生とけるが見据える世界と未来とは。

今回はとけるの代表の柴田、COOの三川とデザインを手がけたデザイン顧問の山本安佳里さんの対談をお届けします。


とけるを表現するために欠かせなかったAKARI DESIGNとの出会い

「使う言葉や表現が似ているから、心地よくて互いを高め合える存在だった。非言語でも伝えたい想いを汲み取ってくれるからこそあかりさんに相談したんです」と語る柴田。

とけるのデザイナー顧問として関わっている山本さん(以下、「あかりさん」)との出会いについて伺います。

ーー最初の出会いはどこだったんでしょうか。

山本:私はもともと北海道出身ですが、9年前に京都に移住をしました。活動拠点が京都だったこともあって、振り返ってみると地元の北海道のことは何も知らないし、還元できてないなと感じていたんです。

そんなとき、「U35-KYOTO」という団体のメンバーだった私に、「U35-SAPPORO」を作りたいと声をかけてくれたのが涼平君(柴田)。

柴田:オンラインでお話しすることはありましたが、直接会ったのは2022年。U35SAPPORO決起会の時にあかりさんが駆けつけてくれた時ですね。

左から三川、山本、柴田

柴田:その後も京都や札幌で会う機会が増えて、厚真町と栗山町の二町連携プロジェクト「綯う-now-の時には、あかりさんの力を借りて素敵なリーフレットが作成できました。

リーフレット自体はつながっていませんが、
隣り合わせにすると繋がるようなデザイン
裏面は町内で活動する人の想いがマップのようにつながっています

柴田:第二創業期を迎えて役員と顧問を増やすタイミングで、「顧問としてとけるのデザインにぜひ関わってもらいたい」とお願いしたんだよね。

山本:とけるの2人といることが心地よくて、もっと関わりたいという気持ちが私もあったので。「私が顧問?」という気持ちはあったんですが、「よければぜひ」という気持ちで受けることにしたんです。

柴田:三川がよくいうとけるのビジョンやミッションを実現するために必要なアベンジャーズの1人だよね。(笑)あかりさんはとけるのデザイン特攻隊長!

三川:リブランディングの相談をした時も、あかりさんの中には既に「とける」がある状態で、全部わかってくれているという安心感がありましたね。

とける変革期。予定調和なしの融け合いと「しなやかな」強さが増してきた

ーーとけるのリブランディングのきっかけはなんだったのでしょうか。

柴田:これまでのとけるのロゴは、相反する色として分かりやすい赤と青のグラデーションを使って、分断が生じている世の中の境界を融かすイメージしています。

「とける」の文字も”と”は三角、”け”は四角、”る”は丸と徐々に角が取れて丸くなっていく世界観を表現していました。


創業当時の想いが優しい色やデザインで表現されていてとても好きなロゴです。だけどより豊かで歓迎する未来を作っていくための「価値創造」を考えた時、想像できない領域に達する必要があると思いました。

三川:涼平さんとこれからのビジョンについて話し合うなかで、自分たちは優しいだけじゃなく、ぐいっと力を入れて動かすプロジェクトが多いです。

そこで力強さを増したとけるの活動をより表現できるビジュアルがあるんじゃないかと。

柴田:とけるメンバーは意外と体育会系なんだよね。(笑)ゆるいのは好きだけど、ぬるいのは好きじゃない。だから優しさだけじゃなく、力強さも表現したかった。

今よりも予定調和を抜きにした、融け合いを表現したい。…よし!とりあえずあかりさんに相談しよう!ってなったんだよね。

ーー以前のとけるのロゴも本当に素敵ですよね。
あかりさんはお二人からご相談を受けた時はどのように感じられたんでしょうか。

山本:お仕事を通してとけると関わっていくなかで、体育会系な雰囲気を二人には感じていました。でも力強さと優しさを相反するものにするわけではなく、何者にも変容できる柔軟さやとけるの世界観を出せたらいいんじゃないかと。

三川:最初にあかりさんに相談した時、「強さと優しさ、そしてしなやかさ」といった言葉で表現してくれて、どんどん話が進んでいきましたよね。

山本:二人は言葉のプロだから、まずは2人の想いやビジョンを言語化してもらうことから始めました。

「融けて、滲んで、混ざっていく」とける新デザインへの想い

ーーそんな三人の想いが詰まった新デザイン。見るからに素敵なのですが、どういった想いを込めて作られたんでしょうか。

山本:色や全体のイメージは「融けて、滲んで、混ざっていく」という変容の過程を表現しました。画材も油絵の具ではなく、水彩絵の具をチョイスして「お互いが引っ張り合って、混ざり合って、形を変えていく」という柔らかい強さで変容していく様を水の力を借りて、とけるらしく表現できるかなと思ったんですよね。

柴田:まさにその通り。今回のデザインには思い通りにならない、想像がつかない様の表現が必要だなと感じていて。今までの赤と青のグラデーションだとある意味、思い通りに融けているという感じだった。

「人って思い通りに動かせるほど簡単な生き物じゃない」と思うんです。自然とそうなる"様”を大切にしながらも、融け合った先にある未来を創っていきたい。

何事もスピード感を求められる金融資本主義社会だけど、それだけじゃないい。たとえば鍋に火をつけて、早くものを融かそうとすると焦げちゃうように。何かを強いる 「強さ / 権威 / 怖さ」じゃなくて、柔らかで適切な「強さ」を表現できたデザインだと思う。

その想いを水彩絵の具であかりさんが表現してくれて、このビジュアルを見た時は「あ、これです!これです!」って感じでした。(笑)

ーー水彩絵の具で「柔らかい強さ」を表現。とけるらしい言語がしっかりビジュアルに表現されているんですね。

柴田:水彩絵の具という画材自体も起源が紀元前450年くらいにギリシャで誕生したものだそうです。

新しいものを次々に作ろうとする社会のなかで、普遍的に使われてきたものを活用して表現する(=残していくこと)が大切。そういった意味でもビビッときました。

三川:最初見た時、感動しました。以前のロゴは2色で構成されて、交わる部分が薄くなっているデザインでした。今回は薄くなるのではなく、色が重なることで新たな色が生まれる。

例えば青と赤の部分は繋がって緑になっていたり。緑と赤は限りなく近くて、もう少しで何かが起こりそうな予感がするところとか。

三川:見る人にとってさまざまな解釈ができるところがいいなと思ってます。

ーー”とける”の文字も以前の記号的なデザインから、明朝体に変わっていますね。

柴田:”とける”の文字もあかりさんが手書きで書いてくれたものです。加工されてない、手触り感のある自然な形がすごく気に入っています。

山本:”とける”の文字は今まではポップで整った印象を持つ字体だったのを、あえて手書きの明朝体を使うことにしました。完璧な書体である明朝体を使いながらも手書きで線を引き、色を塗り加えることで完全ではない黒や人間らしさを文字のビジュアルに加えました。

柴田:今後のビジョンとして、コミュニケーションデザインを事業軸に日本だけでなく海外にも目を向けていきたいなと考えています。

「世界で耐えうる、誇れるロゴ」にしたいとあかりさんに相談したら、「では、なおのこと”ひらがな”でいきましょう!」と返していただきました。

ひらがなには日本独自の悟られない力強さや意思表示があるはずだから、日本に生まれたからこそ扱える「ひらがな」を携えて世界へいく。そんなメッセージも感じられるのがとても好きなポイントですね。

山本:日本の漢字もひらがなもカタカナも扱ってる文化ってすごく特殊だと思うんですよ。韓国でも漢字は元々はあるけど、基本ハングルでも四角と直線の世界でできている。
曲線が美しいひらがなには日本人の立ち振る舞いだったり、姿勢だったりが表れていると思っていて。漢字みたいに一字で意味を持つというわけでないけど、筆で書いた時の力強い留めや線の強弱が美しい文字だと思っています。

未来の尺度は人それぞれ、広がるとけるの世界

ーーこんなにもロゴに愛が詰まっているんですね。世界に誇れるロゴを手にした今、とけるが思い描く未来を教えてください。

三川:これまでのとけるは涼平さんと私の2人の組織でした。ずっと2色だったとけるが、今年度は役員や編集部メンバーが加わることで、このビジュアルのように滲んで広がっていく未来がとても近くにあると感じています。

新生とける役員、顧問メンバー

とけるは多様性を受容しつつ、お互いの共通の願いを見つけ出していける会社。外へももちろん広がっていくけれど、新ビジュアルのようにしっかりお互いに繋がっていく、そんな未来に近づけるように頑張りたいですね。

このビジュアルやロゴを見て、言語化できないとけるの世界観を潜在的に感じ取ってくれる人が増えていくのだと思います。

山本:とけるの二人がいつも大切にしている言葉や姿勢を知っているからこそ、正直かなり悩みましたし、筆が止まることもありました。でも今回のこの表現に落ち着いたときは、迷いなく「これだ!」と思いました。

提案したものをこんなに歓迎してもらえて、本当に嬉しいです。これからもとけるが膨らんで、融け合って、交わって、滲み合っていくなかでもとけるらしさという背骨をしっかりもっていて欲しい。柔らかに広がっていって欲しいと思います。

柴田:ビジョンである「未来が歓迎する環境を想像×創造する」を目指すことはブレないです。

「未来が歓迎する環境ってなんだろう」という問いを多くの人が持って、問いを通じて一緒に未来に近づいていける。

「未来」の尺度は人それぞれ。自分と目の前にいるあなたというサイズでの答えでもいいし、膨大なものとして解釈してもいい。

理想論ですが、多くの人たちと歓迎する未来を一緒に作っていきながら、それぞれが豊かに幸せに暮らしていけるような社会を創っていきたいと思っています。

達成するには、さまざまな分断を超えていくことが前提条件。とけるチームでさらにその未来に向かって一生懸命走っていきたいと思います。

ーー皆さんありがとうございました。とけるが創造する”未来が歓迎する環境”を楽しみにしています!


<この記事を書いた人>
田村 優奈 Tamura Yuna 
https://note.com/xyuz89ron/portal

北海道函館市在住。2023年からライターとして活動スタート。「毎日を気ままに、ご機嫌に」をモットーに暮らしています。趣味はカメラと御朱印巡り。